基礎断熱工法住宅の床下浸水はどのように起こるのか
近年、高断熱・高気密住宅の普及とともに増えている基礎断熱工法。
冬は暖かく快適な住環境を実現できる一方で、豪雨や浸水被害が発生した際には、一般的な床下換気工法とは異なる注意点があります。
そもそも基礎断熱住宅の床下浸水は、どのように起きるのでしょうか。
「床下だけ浸水する」とは限らない
一般的な住宅では、
「床下浸水」
という言葉から、床下だけに水が入った状態をイメージすることが多いかもしれません。
しかし基礎断熱住宅の場合は少し事情が異なります。
床下は外気と切り離された半室内空間として設計されているため、
浸水は
- 床下から始まる場合
- 室内から床下へ広がる場合
の両方があります。
最も多いのは室内からの流入
大雨や河川氾濫で敷地が冠水すると、
- 玄関
- 勝手口
- 掃き出し窓
などから水が室内へ流れ込みます。
基礎断熱住宅では床下点検口が室内に設けられていることが多く、
室内に入った水が点検口や隙間を通じて床下へ流れ込むことがあります。
つまり、
「床下浸水」ではなく、「住宅全体への浸水」の一部として床下も濡れてしまうケースが多いのです。
配管まわりから浸水することもある
住宅の基礎には、
- 給排水管
- 電気配線
- エアコン配管
などが貫通しています。
通常は気密処理や防水処理が施されていますが、
周囲の水位が長時間高くなると、こうした貫通部から水が侵入する場合があります。
特に近年の線状降水帯による豪雨では、短時間で想定を超える冠水が発生することもあります。
基礎そのものが「水槽」になることも
基礎断熱住宅の基礎は、床下換気口がありません。
これは断熱性能を高めるための構造ですが、浸水時には別の現象が起こります。
一度基礎内へ水が入ると、
コンクリートの立ち上がりに囲まれた床下空間が、水をため込みやすい状態になる
ことがあります。
床下換気工法の住宅よりも排水や乾燥に時間がかかるケースがあるのです。
浸水被害は「水が引いてから」が本番
浸水直後は、
- 水を抜く
- 泥を除去する
- 清掃する
ことに意識が向きます。
もちろん重要な作業ですが、基礎断熱住宅で本当に注意したいのはその後です。
床下には、
- 木材
- コンクリート
- 断熱材
- 配管周辺
など多くの部材があります。
見た目では乾いていても、内部には大量の水分が残っていることがあります。
なぜ基礎断熱住宅は乾きにくいのか
基礎断熱住宅は本来、
「外気を床下へ入れない」
ことで性能を発揮します。
しかし浸水後はこの特徴が逆に働くことがあります。
床下換気工法の住宅なら外気による乾燥が進みますが、
基礎断熱住宅では、
- 気密性が高い
- 外気が入りにくい
- 湿気が滞留しやすい
という条件が重なります。
その結果、
浸水から数週間〜数か月後に
- カビ
- 臭い
- 木材の高含水状態
などが発生することがあります。
住環境ラボとしての整理
基礎断熱住宅の床下浸水は、
「床下に水が入ったかどうか」
だけで判断できるものではありません。
むしろ重要なのは、
どこから水が入り、どれだけの水分が床下に残ったか
です。
基礎断熱住宅は快適な住まいを実現できる工法ですが、浸水後は乾燥に時間がかかる傾向があります。
そのため復旧では、
水を抜くことよりも、床下を十分に乾燥させること
が重要になります。
浸水被害では、見えない床下の状態こそが、その後の住環境を左右するのです。